2016年2月22日月曜日

上海租界 外灘の夜景

上海租界 外灘(ワイタン)
英語表記はShanghai The Bund



外灘(租界)の簡単な歴史を説明すると
1842年アヘン戦争に敗北した清は南京条約で多額の賠償金支払い要求および
香港の割譲と上海の一部をイギリスの租借地として認めさせたのが
ここ上海租界の始まりだったのです

冷静に考えるに、自国(イギリス)の利益のため
アヘンを輸出、反発する清に戦争を仕掛けるって鬼畜もええとこですね

黄浦江を挟んだ対岸 上海 浦東(プードン)の高層ビル群
外灘が19-20世紀前半の歴史遺産とすれば
浦東は21世紀を象徴する建造物群でしょう
現代中国がアメリカ、日本に負けてたまるか!という
意地とプライドの象徴ともいえます
当時の先端西洋建築様式を取り入れたビル群
ゴシック、ネオクラシック、アールデコ等 中山東一路沿い1.1kmにビルは並んでいます


19世紀後半から20世紀前半に築かれたヨーロッパ調のビル群は
見惚れるような美しさです

左は旧中国通商銀行(外灘6号)  
元々はラッセル商会所有でしたが中国通商銀行がのちに使用しました
ゴシック式建築 19世紀後半に建築

右は旧大北電報局(外灘7号) もとデンマークのグレート・ノース・テレグラム社所有
ネオバロック風建築1907年竣工


とまあ学術的なことはこの辺りにしておきます
20世紀前半 繁栄を極めた上海 東洋のロンドンニューヨークといった佇まいです
度重なる内乱、戦争 文化大革命を経て
なおこの姿を留めているのは奇跡というしかないです。



あまり仕事をしない警察って聞いたんですが
どっこい外灘では大活躍しておりました
特派員も「こんな仕事してる警察は初めて見た!」
って言ってました(笑)
この日は土曜日の夜ということもあって
スリ置き引きから観光客を守ってくれてたんでしょう

緑に光る三角屋根のビルディングはキャセイホテル和平飯店北楼(旧サッスーンハウス
20世紀初頭上海の経済と不動産業を支配したサッスーン家が所有してました
もう少し補足すると経済を支配といっても、裏ではインドで栽培したアヘンを中国で密売し
莫大な利益を貪っていたという構図であります
ちなみに建物はアールデコ様式です

左手前は台湾銀行上海支店ビル
右が
ノースチャイナ・デイリー・ニューズビル(外灘17号)
ここは日本の上海占領期に
日本紙である大陸新報社が入っておりました

イオニア式円柱
昨日勉強して覚えました(^^;)

20世紀前半 秘密結社であり上海ギャングの青幇(チンバン)
といわれる組織が暗躍してました。
アヘン密売、賭博、売春 上海の暗黒面を牛耳るワルたち・・・

上海租界 昼は欧米人が支配し夜は青幇が支配していたのです

ちなみにその気になって歩く後姿の女性は「特派員母」です><;

青幇が普通のギャングと違うのは民族的イデオロギー
「漢民族の復興」という一大目的を組織の奥底に内包し
政治結社的要素も持ち合わせていたというところです

闇社会で得た利益を時の政治組織に援助もおこない
蒋介石と共闘戦線を組んだりもしていました
頭目 杜月笙は上海で知らないものはいないと言われるまでの存在だったのです


男装の麗人川島芳子 歌手李香蘭 蒋 介石夫人宋美齢
上海 夜の社交界の華たち
ドラマ、映画、小説の題材には事欠きません

西洋建築物群の屋上をよく見ていただくと気付きますが
どのビルにも中華人民共和国の国旗が掲揚されています
1842年のアヘン戦争敗北から100年余り 
中国共産党国家樹立でやっと列強諸国の支配から上海を
取り戻したぞという意思表示なんでしょう

街を行く観光客はそんなことはお構いなしで大声で談笑しながら
外灘を闊歩していますが(笑)


話しは前後しますが日本も日清、日露の両戦争 その後の第一次世界大戦
に勝利し、西洋諸国に遅れながらも アジアで唯一の列強として
肩を並べるようになりました
昭和4年の世界大恐慌を経て中国大陸進出、
満州国樹立 第一次第二次上海事変から中国との全面戦争へと
突き進んでいくのでした
外灘には日本の「横浜正金銀行 上海支店」が竣工しました
当時の日本人はそれをどのように感じていたのでしょうか?
おそらくは誇らしく思っていたでしょう
同時に中国人はどのように感じ、西洋列強はどう感じたんでしょう?
アメリカの日本移民排斥運動、リットン調査団、国際連盟脱退
という歴史の流れをみれば、おおよその予想はつきます


政治の世界は別として
民間レベルでは中国人と日本人 それなりに仲良くやってた様子も見て取れます
昭和の大作曲家「服部良一」は太平洋戦争終了まで
ここ上海のキャバレーでスイングジャズを演奏していました
1940年 名曲「蘇州夜曲」が生まれ、当時の最先端ジャズ「ブギ」は
戦後すぐに笠木シズ子の「買い物ブギ」として大ヒットします


視点を21世紀の現在に置きます
昨今、中国人観光客が大挙として日本に訪れています
マスコミでは連日「爆買い」「中国人のマナー」
を面白おかしく時には顔をしかめながら報道してますが
根底では彼らは日本と日本人のことが大好きなんでしょう
でないとあれだけの人が日本観光にこないでしょう?
私がこの上海旅行中にも中国の方から
「日本大好き!」「日本に行きたい!」
って何度も話しかけられました(特に若い人から)

中国と日本
お互い反発し合うことの多い両国ですが
DNAレベルでみれば本当に近い民族
距離的にも近い両国、歴史的にも弥生時代より
大きく影響を受けながらやってきた両国
過去の教訓を教科書にもっと上手くやっていける
可能性を秘めている気がします。